PyConJP 2014に参加してきました
今年も9/13,14に行われたPyConJP 2014に参加してきました!去年に引き続き、2回目の参加です。
今年の会場は去年に比べて交通は少し不便になってしまいましたが(特に東京テレポート駅からは遠い)、会場の中はホールや教室とドリンクバーが離れておらず、良い意味でこじんまりとした場所でした。
今年はチケット代に二日間のランチ + 何と懇親会のパーティ付きでした。ありがとうございます!
特に1日目のランチはテーマごとの席が用意されていて、初対面の人とでも会話しやすくてありがたかったです。
実は最近Pythonを使っていないので去年ほどのワクワク感は無くなってしまったのですが、いくつか面白かった講演の感想などを書きたいと思います。
パッケージングの今
去年に引き続き、Pythonのパッケージングライブラリがどうなってきているのか、という話。
実は今までパッケージをPyPIに登録するという経験が無かったので、Pythonのリハビリも兼ねて作った小さなライブラリをPyConJP会場からPyPIに登録したばかりでタイムリーな話題でした*1。
setup.pyにはよく分かっていないままにsetuptoolsを使ったのですが、とりあえず今の本流らしくて安心しました。
wheelは去年聞いたときはピンと来なかったのですが、先日Macでnumpyをpip installしたときにコンパイルが走らずにインストールが完了したときに感動しました。
numpyのようにC言語や他のライブラリとリンクさせる巨大なライブラリではインストールだけで何十分もかかっていたのですが(しかも依存ライブラリとか設定がしっかりしてないとコンパイルエラーで落ちる)、それも過去の話になりそうです。*2
Pythonはおそらく標準ライブラリが充実しているために依存関係が少なくて外部ライブラリのインストールが早い、ということを別言語に移行して再発見したところだったので、wheelの導入でさらにインストールが早くなるのは素晴らしいと思います。
正規表現リテラルは必要なのか
このセッション一番の学びは、re.matchやre.searchは内部でコンパイルした正規表現をキャッシュしているということでした。re.compileが不要かどうかは計測しないと分からないところですが。
個人的には、正規表現リテラルはやはり便利だと思います。文字列操作の関数の方が分かりやすいという意見も分かるのですが、Linuxでsedとかgrepを使いこなすようになると、文字列操作をするときは自然と正規表現を考えるようになるので文字列操作関数はいつの日か使わなくなってしまいました。そうなるとPythonだけre.search()とか使わなきゃいけないのが単純にめんどくさいんですよね。
Perlを使い始めた時はPythonに比べて色々めんどくさいなーと思いながら勉強していましたが、Perlの正規表現に関しては最初に見たときに感動しました。
やっぱりリテラルがあるとカジュアルに正規表現を使っていけるんですよね。まぁ、カジュアルに使いすぎて後々苦しめられることがあるのも事実なのですが・・・。
1日目 Keynote Kenneth Reitzさん
順番的には一番最初の講演なのですが、一番おもしろい話だったので最後に持ってきました。
CH01 Opening~Keynote: Kenneth Reitz - YouTube
RequestsライブラリやHerokuの話しかと予想していましたが、Python2と3の話でした。
自分の記憶ではPython3は3.2ぐらいから安定してきたと言われていて、Djangoやnumpyが3に対応したと聞いていたのでそろそろ3に本格移行が始まっているのかな、と思っていましたが会場のアンケートでは2の使用者がまだまだ多くいらっしゃるようでした。
その後のスライドで2014年1月に2週間にPyPIからPython2と3でどれだけパッケージがダウンロードされたかの統計が示されていたのですが、圧倒的に2が多く(動画の45分あたり) 、コア開発者は3の開発をどんどん続けているのにコミュニティが2に留まり続けているので断絶が起きてしまっているらしいです。
このセッションは質疑応答の方が盛り上がって、Python界隈からするとかなりギリギリの話もあったかと思います。
個人的に印象深かったのは以下の3点
- Kennethさんは個人的な意見としながらも3にメリットは無いと発言
- Pythonは安定した言語だったので、Rubyと違って新バージョンへ移行する文化が無かった
- 現時点でコミュニティが出している回答は2の維持
3にメリットが感じられないというのは個人的に同感で、3に移行するメリットで有名なのは
- Unicode回りが改善
- printとかtry-exceptのようなイマイチだった構文の改善
- 標準ライブラリが整理された
ぐらいだと思います。既に2.7は今後開発されないと宣言されていますが、苦労して今までのコードを書き換えて、正しく動作することを確認するコストと比較すると、現時点で得られるメリットが少ないと言わざるを得ないと思います。
各ライブラリの対応状況を見ると、主要なライブラリは大体3に対応してきているので、Python3に移行しない最大の理由である「ライブラリが対応していないから」というある意味言い訳も通用しなくなっていると思います。それでもユーザーが移行しないとなると、質疑中でPerl5とPerl6の話も出ましたが、Pythonでも同様にPython3の成果をPython2にバックポートし続けて別々の言語として発展し続ける・・・という未来もありえるのかもしれません。
自分としてはPythonを触る機会が減ってきてしまってほとんど新規ユーザーと同じ状態なので、これからはとりあえずPython3を使ってみようと思います。